認知症の初期症状について、より詳細に解説いたします。認知症は進行性の脳の機能障害であり、その初期段階では小さな変化から始まります。これらの初期症状を理解し、早期に気づくことが、適切なケアや支援につながる重要な第一歩となります。

認知症の初期症状まとめ

認知症の初期症状について、ネットで確認できるものをまとめています。

元記事を見たい方は以下にリンク一覧を出すのでそれぞれ確認してください。

認知症などの初期症状とはどんな感じですか?よく、物忘れ …

記憶障害

記憶障害は認知症、特にアルツハイマー型認知症の最も顕著な初期症状の一つです。

同じ話の繰り返し

認知症の初期段階にある方は、同じ話を何度も繰り返すことがあります。これは最近の出来事を記憶に留めておくことが難しくなるためです。例えば、デイサービスで聞いた昔話を、毎回同じように話すようになることがあります。

食事の忘却

「食べたものを忘れる」のは通常の加齢による物忘れですが、「食べたこと自体を忘れる」のは認知症の初期症状の可能性があります。食事をしたにもかかわらず、「まだ何も食べていない」と言い張ることがあります。

約束の完全な忘却

約束をしたこと自体を忘れてしまうことがあります。単に日時を間違えるのではなく、約束の存在自体を記憶していないという点が特徴的です。

日常生活での支障

認知症の初期段階では、それまで問題なくできていた日常的なタスクに支障が出始めます。

蛇口や栓の締め忘れ

水道の蛇口を開けっぱなしにしたり、お風呂の栓を閉め忘れたりすることが増えます。これは、一連の動作の最後まで注意を持続させることが難しくなるためです。

頻繁な探し物

物の置き場所を忘れて、頻繁に探し物をするようになります。初期の段階では比較的見つけやすい場所に置いていることが多いですが、症状が進むにつれて、非常に奇妙な場所(例:テレビのリモコンが下駄箱の中)に置いていることもあります。

料理の品数の減少

複雑な作業が苦手になるため、料理の品数が減ったり、調理方法が単純になったりします。また、食材の管理が難しくなり、腐りかけた食材を使用してしまうこともあります。

見当識障害

時間や場所、状況を正しく認識する能力(見当識)の障害も、認知症の初期症状として現れます。

日付や季節の混乱

今日が何日か、今の季節が何かがわからなくなることがあります。単に日付を間違えるだけでなく、季節外れの服装をするなど、行動にも影響が出ることがあります。

場所の認識困難

慣れ親しんだ場所でも道に迷うことがあります。初期の段階では、一時的に混乱するものの、しばらくすると思い出すことができますが、症状が進行すると、自宅の中でさえ迷子になることがあります。

判断力・実行機能の低下

計画を立てたり、複雑な作業を遂行したりする能力が低下します。

計画立案の困難

旅行の計画を立てたり、複数の用事を効率よく済ませたりすることが難しくなります。以前はスムーズにできていた作業が、突然うまくいかなくなることがあります。

新しい場所への移動困難

公共交通機関を使って新しい場所に行くことが難しくなります。路線図の理解や乗り換えの判断が複雑になり、不安を感じるようになります。

性格・行動の変化

認知機能の変化に伴い、性格や行動にも変化が現れることがあります。

興味・意欲の低下

以前は熱心に取り組んでいた趣味や活動に対する興味が薄れ、無気力になることがあります。例えば、毎週楽しみにしていた園芸番組を見なくなるなどの変化が見られます。

不安・抑うつ傾向

自身の能力低下に気づき、不安や抑うつ感を抱くことがあります。「自分はおかしくなってしまったのではないか」という思いから、周囲との交流を避けるようになることもあります。

感情コントロールの困難

些細なことで怒りっぽくなったり、逆に涙もろくなったりするなど、感情のコントロールが難しくなることがあります。これは、感情を抑制する脳の機能が低下するためです。

その他の症状

その他の症状については、以下のようなものがあります。

言語の困難

言葉が出てこなかったり、会話の流れについていけなくなったりすることがあります。特に、物の名前が出てこないことが増えます。

繰り返しの確認

「電気を消したか」「鍵をかけたか」などを必要以上に確認するようになることがあります。これは、自身の記憶に対する不安から生じる行動です。

重要なのは、これらの症状が単独で現れるのではなく、複数の症状が組み合わさって現れること、そして徐々に進行していくことです。また、個人差が大きく、すべての人に同じように症状が現れるわけではありません。

認知症の初期症状は、通常の加齢による変化と区別するのが難しいことがあります。しかし、これらの変化が日常生活に支障をきたすほどに顕著になってきた場合は、認知症の可能性を考慮する必要があります。

家族や周囲の人々が、これらの変化に気づくことが多いため、気になる症状があれば、本人の様子を注意深く観察し、早めに専門医に相談することが重要です。早期発見・早期診断により、適切な治療やケアを開始することで、症状の進行を遅らせたり、生活の質を維持したりすることができます。

また、認知症の人々とその家族を支援するためのサービスや地域資源(認知症カフェなど)も増えています。これらを積極的に活用することで、認知症と共に生きる人々とその家族の生活をサポートすることができます。

認知症は完治が難しい疾患ですが、適切なケアと支援により、その人らしい生活を長く維持することが可能です。初期症状を理解し、早期に対応することが、認知症の人々とその家族のQOL(生活の質)の維持・向上につながる重要な第一歩となるのです。